私達それぞれがコミュニティを持っている
ライザがディレクターをするキッズ・ミュージカルを撮影しはじめてもう10年以上経つ。
ライザはブレない。彼女を見ていると、リーダーシップとは何かがとてもクリアだ。
謝る時はキッズにも謝る。
それは3月11日のことだった。
コロナの影響で、アメリカの学校が閉鎖を始めた頃。
学校が閉鎖になってるのだから、ミュージカルなんてやるワケないと思っていたのでテキストをしたら「とにかく撮影に来て」と言われた。
始まる前にキッズを集めてライザがこう言った。
「今からとても大切なことを言います。コロナの影響で、お芝居は8回のところ、2回だけやることになりました」
ええええええええ!!!!!と、キッズは大騒ぎ。
「わかってるわ。わかってる。どれくらいあなたたちが練習してきたか、よくわかってる。だけどね、この時期、今この時期に2回やれるだけでも奇跡なのよ」
「ライザ、私たちは大丈夫よ。全然具合悪くないし、家族も誰もかかってない。どうして休まなくちゃいけないの?」
ライザは、大きな声で「静かに!」と皆をしずめたあと、こう言った。
「いいこと?私には私のコミュニティがある。あなたたちは私の大切なコミュニティ。そして私にはあなたたちの他にも、友達とか、近所とか、ここ以外のコミュニティがある。私には家族がいる。私の家族にもそれぞれ、コミュニティがある。あなたにもあなたのクラスメイトとか、近所の友達とか、コミュニティがある、家族もある。あなたのパパやママ、兄弟も、それぞれがそれぞれのコミュニティを持った集合体なのよ。どこかで誰か一人でも風邪をひいたりコロナになると、あなたはキャリアとなり、違うコミュニティに運ぶことになるの。
私たちは自分たちのコミュニティを守る責任があるわよね?
だから、こういうことはあなた一人の問題でも、私ひとりの問題でもないの。社会に生きる大人として考えてみて。
あなたがこのミュージカルの中で大人の役をするでしょう?その大人として、考えてみてちょうだい。」
もう、シビれまくった。
ライザはリーダーだな。本当に。
私はいろんなところでいろんな人から学んでいる。