ダンス脳はユニークに発達する

ヘルシンキ大学のHanna Poikonenさんの論文。訳してみました。

(わかりやすいように、意訳になっている部分が多くあります)

https://www.helsinki.fi/en/news/health/a-dancers-brain-develops-in-a-unique-way?fbclid=IwAR1X6eKx_rirAx8KI01ItNUgB_GWjKeDXijEWUV4eE8g7Cpekkq0NUFB2fM

音楽は私たちのより深い脳領域を活性化させます。ではダンサーの脳内では?

ムーブメント(動き、ダンス)は直感的な脳内ネットワークと同じ流れを引き起こす可能性を持っています。

テクノロジーが生活の中に入り込むにつれ、逆に自然な生き方への関心も飛躍的に高まっています。その願望の一例は、ヨガや瞑想のリトリートの急増です。

音楽やダンスは、千年ものあいだ、密接なコミュニテイ作りとともに豊かな文化を生み出し、人類と深い結びつきを作って来ました。

脳科学の分野では何十年もの間音楽について研究され、音楽はユニークな方法でより深い脳領域を活性化することがわかりました。脳深部は主に感情、記憶および社会的相互作用に関与しています。それらは人間の脳の中で、皮質の認知機能よりもはるかに早く進化しました。

=== 脳深部は主に感情、記憶および社会的相互作用に関与している ===

私は博士論文の中で、ダンスが大脳皮質の中で生成するプロセスを理解するためのメソッドを研究開発しました。

ダンス作品の録画を見せながら、プロのダンサーやミュージシャンの脳の機能と、それらの経験のない人たちとで比較してみたところ、突然の音楽の変化、音楽の長期リスニング、そして視聴覚ダンスのパフォーマンスの間、ダンサーの脳活動はミュージシャンやコントロールグループのそれとは異なっていました。

結果は、ダンサーの聴覚および運動皮質には独特の方法の発達があることを発見。私の研究によると、ダンサーの頭脳は、音楽家や教育されたメンバーよりも音楽の変化に素早く反応しました。ダンサーは、意識的なレベルで認識する前でさえも変化を脳内反射として明らかに認識しています。

また、ダンサーが低いシータ周波数でより強いシンクロ(同期)を示すことを発見しました。シータの同期は、すべての対人相互作用と自己理解の中心となる感情と記憶のプロセスに関連しています。

ダンスでは、人類の基本的な要素は自然に揃います。

タッチ(接触)と協力はダンスの不可欠な要素です - それらがなければ、ダンスはあり得ません。それは運動や音楽と同様にダンスにも重要です。

しかし、脳科学におけるダンス研究はまだ若い分野です。その結果、ダンスを通したタッチと協力における脳プロセスはまだ研究されていません。

人類の基本的な要素は、ダンスの中には自然な方法で存在していることは知られています。それは音楽を演奏するのと同じように、創造的な行為とよくチューニングされた動きとのコラボレーションを兼ね備えています。ムーブメント(ダンス)はスポーツのように全身を動かします。その上、やさしい繋がり(タッチなど)があります。

ダンスはまた、「流れ」とも関わりがあります。

よく耳にするのは、ムーブメントの流れの中で人がフルな自分を経験した、ということ。「流れ」の経験は、その人の一般的な満足度と生産性、活動のクオリティを高めることがわかっています。それは行き過ぎた論理的推論と細かすぎる観察に陥りがちな脳内ネットワークの活性化を減らします。

これにより、リラックスした心の状態を生み出し、重要な役割を果たすクリエイティブな脳内ネットワークのための余地を作ります。

研究によると、楽器を練習する過程で多くの方法で脳内の運動過程を形作ることがわかっています。楽器の練習は極端な精度が必要です。

最近ではダンスについてもダンサーの脳が動きを処理するためにどのように特殊化したかを明らかにする研究が行われています。

ダンサーの脳の特定の領域は、ダンスの動きを観察するために特殊化されています。ミュージシャンやダンサーの脳の構造も、動きや音の処理を担当する分野で一般の人々とは異なる範囲の反応のあることがわかっています。

===脳の、見えない同期(シンクロ)===

音楽を作る人とムーブメントを見せる人が一緒にコラボレーションをするとき、互いにどう相互協力するかを調べると、二人の人間の脳が同じ周波数に同調するようになります。これは、低周波脳波がどのように同期するかを見ると明らかです。

脳の同期はシームレスな協調を可能にし、音楽とムーブメントが互いに調和を生み出すために必要です。他人の脳の波長に同調する能力は、共感コミュニティの機能にとって不可欠です。

最近では研究者たちはムードを安定させるエクササイズとしての運動の役割に関して素晴らしい結果を得ています。薬物治療や心理療法に加えて、運動は現在もうつ病の治療法として推奨されています。運動は幸福感を生み出すホルモンを放出し、それが今度は脳内の前向きな感情的プロセスを促進します。それはまた、扁桃体、脳の恐怖とストレスの中心の活性化を低下させます。

自分にあったダンススタイルを見つけることは、踊る人を幸福にします。今まで勧められて来た大変で退屈なエクササイズを忘れることもできますしね。

優雅な動きを追求するダンサーは、自分の体への気づき、言葉のないコミュニケーションへの気づきを練習する必要があるでしょう。これらのスキルは、座っている事や仮想現実の中で多くの時間を費やす今日の私たちにとって特に重要です。昨今の私たちの在り方は、この身体的な経験と、言葉のない感情的メッセージの理解から遠いところへと取って代わられてしまっていました。

が、例えば、コンタクト・インプロビゼーション(ムーブメントの一つです)は、ダンサーが彼らのパートナーの体に注意深く耳を傾けるようにします。触れることで痛みや恐怖、不安が軽減されることが知られています。

ファンクショナル・ブレイン・イメージング(機能的に脳をイメージさせる、という意味の脳メソッド)では​​、これらの接触の影響が脳にも見られることを示しています。ある研究では、単独で経験した疼痛と比較した場合、他の人からの接触により、電気刺激中の脳内の疼痛活性化の強度が減少しました。

痛み、ストレス、不安は、うつ病と密接に関連しています。ダンス、音楽およびそれに関連した表現形式の療法は、完全な鬱病の発症前であっても精神的な変動を少なくするのに役立ちます。有望な結果は音楽療法を通してうつ病を治療することから得られました。

ダンスによるセラピーは、不安から認知症、パーキンソン病まで、心身のさまざまな障害に役立ちます。

ダンスは非常に個人的で主観的な経験です。しかし、テクノロジーで満たされた世界で、人々がどのようにダンスを使って互いにつながりを感じることができるかを理解するのに、脳科学は役立つ結果を出しています。

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